「私なりの観点でスポーツ界を面白くしたい」女子バスケ界のレジェンド矢野良子が3×3に挑む理由 VOL.2

矢野良子
       

 自分の意思で道を切り開き、輝く人生を歩む“型にハマらない女性”にスポットをあてる「Ordermade of Life(オーダーメイド・オブ・ライフ)」。今回は女子バスケットボール選手の矢野良子さんにインタビュー。
 2004年のアテネオリンピックに女子バスケットボール日本代表として出場、社会人リーグ「Wリーグ」でもスター選手として活躍しながら、2017年には東京五輪出場への夢をかけて3人制バスケットボールへ転向。自ら発起人となり、女子の3×3(スリー・バイ・スリー)国内最高峰ツアー「3W Triple Double(トリプルダブル)」を立ち上げました。前編では、矢野さんの過去と現在について伺いました。そして後編では、生きていくうえでのこだわりや、将来のビジョンを伺います。

  

「まっすぐに生きる」矢野良子の”軸”

矢野良子
 

―自ら発起人となり女子の3×3国内最高峰ツアーを立ち上げるなど、矢野さんが自ら進む道を開拓し続けることができるのは、強い軸があってのことだと思います。自分の人生の軸やこだわりはありますか?

 矢野:「まっすぐに生きる」ですかね。それで反感を買うこともありますが、好きだと言ってくれる人もいます。この性格を分かってくれる人が、何人かいればいい。もちろんある程度気は遣いますが、気を遣いすぎて自分の伝えたいことが伝わらなければ意味がないと思います。

 

―これまで自分の芯をしっかり持って動いてきた矢野さんですが、今後どんな自分を実現したいと考えていますか?

 矢野:まずは五輪に出る。出場自体が一番のネックですが、実現したいのは、オリンピックの舞台に出て引退すること。悔いが残らないように全力でプレイすれば、結果はついてくるものだと思っています。全力でプレイしたうえで、もし望まない結果になったとしても、悔いなくすっきりと終えられるはずだと信じています 。

  

人生を共に歩む靴へのこだわり

矢野良子
 

―「良い靴は持ち主を素敵なところに連れて行ってくれる」と言われることもあるように、靴は人生を歩むうえで重要とされています。何かこだわりはありますか?

 矢野:平均的な日本人女性に比べて身長が高く、足もそれなりに大きい。そのうえ外反母趾なので、履ける靴を探すのが容易ではありません。そのため、自分に合うサイズがあったら、すぐ買うようにしていますね。海外遠征へ行ったら、みんなで靴屋を回って靴を買い漁ることも(笑)。

 

― サイズや形の問題で探すのが難しいということですし、オーダーメイドの靴は助かりますね。

 矢野:そうですね。オーダーメイドは前からやりたいと思っていたんですが、5万、10万と高額なイメージがあったので、なかなか手が出せませんでした。でもKiBERAさんでは9990円からとお手頃な価格で作れたので嬉しかったですね。まず足を計測していただいたので、出来上がった靴は外反母趾の私でも痛くならずぴったり。可愛いだけで靴を買って、靴擦れをして履けなくなることもあったので、これまでの靴を履いた感覚とは全く違っていてびっくりしました。

  

ファッションにおいても我が道を行く

矢野良子
 

― 靴にもこだわりがあるんですね。 靴以外でも、おしゃれをするのは好きですか?

 矢野:結構好きです。サイズを探すのには苦労しますが、その中で選択肢があると嬉しいですね。サイズがあるとすぐ買ってしまうので、クローゼットが大変なことになっています(笑)。


 

― おしゃれを気にされているようですが、デザインへのこだわりはありますか?

 矢野:人と被るようなデザインはあまり好きじゃないので、かぶりたくないです。今回の靴のように中敷きがハートになっていたり、ちょっとしたデザインや自己主張があるものが好きですね。例えば、パーカーにデニム、スニーカーを合わせるスタイルで地方遠征に行くならば、限定のものを着たり、少しでもファッション性のあるものにしたりと、ベタな着方は避けます。

  

「スポーツで世界を変える」オリンピックの、その先へ

矢野良子
 

― これまでのお話で、バスケはもちろんファッションなど様々な部分にこだわっておられる印象を受けました。今の目標はオリンピックだと思うのですが、オリンピック後はどのように生きていこうと思っていますか?

 矢野:少なからずバスケには関わっていくと思います。これまでの人生の9割がバスケなので、おそらく関わりを断ち切ろうとは思いません。これまで引退した選手がやってきたような次世代の指導もする可能性もありますが、基本的には、私なりの違った観点からバスケの普及やスポーツ界を面白くしたいなと考えています。
 そしてできれば、国民の皆さんの中にスポーツを根付かせられるようなしかけを作りたいと思っています。何十年先になるかわかりませんが、そういう活動をしていきたい。そうなったときに3人制に飛び込んだことや、3Wを立ち上げた経験は絶対に活きてくると思っています。


 

― では最後に、人生を通しての夢を教えてください。

 矢野:スポーツで世界を変える。オリンピックで金メダルをとったとしても、すぐに話題が流れ、世間から忘れ去られてしまう現状があります。その状況を変えて、オリンピックの後も継続して試合会場に足を運んでもらえるような施策をとっていきたいなと思っています。バスケットボールだけでなく、スポーツ全般をすべての人の生活の一部に取り入れていきたいです。

 

過去のことから将来の夢まで、熱く語ってくださった矢野さん。ブレない軸があり、堂々と生きるその姿はとても輝いて見えます。スポーツで世界を変えるという壮大な夢も、これまで自分の歩む道を開拓してきた矢野さんなら、叶えられそうな気がします。いつか、その日がくることを、心から願って。

 

[矢野良子 Ryoko Yano] 徳島県出身。徳島県立城北高校卒業後、1997年にジャパンエナジー(現JX-ENEOS)に加入。以降、富士通~トヨタとチームを渡り歩き、国内トップリーグ「Wリーグ」で20年間プレー。リーグ制覇4回、皇后杯優勝6回を達成した。2017年に3×3へ転向。五輪出場を目指す。 Twitter: @ryokoyano  Instagram: @tripledouble2018 3×3 WOMEN’S BASKETBALL GAMES https://scratch.host/3w/

    

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